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コラム「私たちの心を動かした5人の女性~婦人参政権運動にかかわった女性たち~」
戦争の影響、貧しい生活、差別など、自分らしく生きることが困難だった時代にも、人生を力強く生きた女性たちがいます。信念を貫いて生きることは、簡単なことではありませんが、先人たちのひたむきな姿は、時代を超えて私たちに知恵や勇気を与えてくれます。
日本で婦人参政権を獲得するための運動を行った女性たちがいました。女性史に魅せられた、男女共同参画センター支援団体「らいてうの会」のメンバーが、今回は婦人参政権運動にかかわった5人の女性たちを紹介します。
婦人参政権運動の成り立ち
- 明治維新後、政府は先進諸外国に追いつくため急速に改革を行いました。特に女子教育が重視され、1871(明治4)年、5人の少女をアメリカに留学させました。
- 自由民権運動の中で演説を行う女性も現れ、1878年の第2回地方長官会議では婦人参政権が話し合われました。しかし、政府は自由民権運動を抑圧する手段として選挙・被選挙権を男子に限定し、教育の男女差別化を進めました。
- 1900年の「治安警察法」では婦人の政治参加が全面禁止。1919(大正8)年、「新婦人協会」が発足し、請願書の提出など「治安警察法修正」の運動を展開しました。
- 1924年には、「婦人参政権獲得期成同盟会(のちの婦選獲得同盟)」が設立され、議会への法案の提出、婦人参政権賛成議員の応援や世論を喚起する運動などを行いました。
- 背景には、女性解放運動によるイギリスやアメリカでの婦人参政権の獲得がありました。日本では、女性が政治集会に参加する自由を獲得するなどいくつかの成果をあげましたが、参政権を獲得するまでにはいたりませんでした。
- 第2次世界大戦後の1945(昭和20)年12月、日本は民主化の第一歩として衆議院議員選挙法を改正しました。翌年に行われた衆議院議員選挙では、女性が初めて投票し、39人の女性国会議員が誕生しました。
参照:『婦人参政権運動小史』市川房枝監修・児玉勝子著ドメス出版発行
過去のコラム
女性史の魅力を伝える「らいてうの会」
「らいてうの会」は、女性史について学んでいるグループです。
平成13年に当センターで開催した、女性学講座「平塚らいてうの学んだ道から今を読む」の終了後に、もっと女性史を学びたいという有志が集まって立ち上げました。
女性史研究者の折井美耶子先生から学んだ、様々な時代の女性たちの生き方や自分たちで取り組んできたことを記録誌にまとめたり、年1回市民向けに公開講座を行ったりしながら、女性史の魅力を伝えています。今までに20巻発行した記録誌「らいてう」は、中央図書館に収蔵されています。
このように、長年にわたって男女共同参画の推進に尽力した功績が認められ、平成30年度には市の教育功労賞を受賞しました。
令和3年度は、国立歴史民俗博物館教授・副館長 関沢まゆみ先生から民俗学を、令和4年度は国立歴史民俗博物館名誉教授 横山百合子先生から日本近世史、ジェンダー史を学んでいます。らいてうの会の活動に参加したい方は、以下のチラシをご覧ください。1回からでも参加できます。